向かいのお兄さん
第40章 これからも
「俺な…」
また顔を隠しながら、直也は震える声を搾り出した
「美咲のこと…こんなに好きになるって思わなかった」
『…いつの話?』
「最初の、最初」
大きく息を吐いたあと、直也は少しほほ笑んだ
「風呂、入らねー?」
『…///』
頷くと、さらにほほ笑んでくれた
―――――――――――
湯気の立った湯舟に、ゆっくりと身体を浸ける
ピリピリと足元から伝わって来る
「それでさ、最初な…」
『最初っていつよ?』
「あーだから、美咲が饅頭届けてくれたとき」
…本当に、最初だな
懐かしい
『あの時ねー…』
向かい側に座る直也に背を向けて
あたしは足の間に入り込んだ