向かいのお兄さん
第57章 共に歩んで
『しばらくってどれくらい?』
「しばらくは、しばらく」
はぐらかされる
直也の目は、何と無くあたしを見ていない気がした
『何さそれ、はっきりしてよ』
語尾が少しきつくなった
直也がへこんでくれたなら、良かったのに…
「こっちだって用事があんだよ」
冷たく突き放された訳ではない
ただ、真正面から鬱陶しがられてるように思えた
『…』
あたしは何も言い返せない
だって
どっちも悪くないもん
…たぶん…
「じゃあ、また仕事するから」
目だけじゃなくて
顔までよそむけられた
あたしは一言も口にしないで
睨みつけてやった