向かいのお兄さん
第57章 共に歩んで
『教えてよ』
「どーしよっかなー」
『教えたいから話を切り出したんじゃないの?』
図星だったみたいで…
直也はちょっと黙ってから、進行方向を変えた
駐車場の奥へと進んで、民家と民家の間の、1人やっと通れる隙間道へ入って行った
『ちょっ、どこ行って…』
もちろんあたしを連れ回してだったんだけど
『待ってよ、進むの早いっ…』
雑草が伸び放題で、足をしっかり上げないと進めそうもない
しかも家々に挟まれているせいで、外の明るさは全然入ってこないときたもので
「小さい頃って、こういう狭いとこ探検したりしなかった?」
とか、呑気な質問も
『したけど、今しなくていいじゃん!』
と大雑把な返事
「だよな、探検するよな」
『ねえ、何でこんなとこ来るわけ?』
「え?だって…」
一軒分進んだところで
1m四方ほどのスペースが空いていた
もちろん家に囲まれてることには変わりなくて、案の定暗かったんだけど
そこまで来ると、直也は突然こっちを振り向いた
「あんな公の場じゃ、なんにもできないじゃん?」
満面の笑顔で…
『は?あんたまさか…』
言い終わるや否や
あたしは唇を塞がれた