刑事とJK
第96章 家
『…』
ゆうひは大志を抱えたまま、こっちへ顔を寄せた
そのままオレの顔を窺うように、じーっと見てくる
「…」
『すねた?』
「別に…」
ぶっきらぼうに答えるオレを、ゆうひはクスクスと笑う
何がそんなにおかしいんだよ…?
『ねぇ斉藤』
ゆうひはオレの肩に手を置くと、首を伸ばした
すると頬に、柔らかい感触がする
『すねてるんだよね?』
「拗ねてねぇ」
『嘘つくな』
「ついてねぇ」
『じゃあ照れてんだ』
「照れてねぇ!!」
「ねー!!」
大志が突然、口を開いた
その大きな声は浴室中に響き、耳がキンキンとする
「ねー、ねーっ」
大志は斉藤の体をペチペチと叩きながら
ねーを連呼した
『ありゃ、大志ったら斉藤の口まねしてるの?』
「ねーっ」
『こんな荒い言葉遣い、覚えちゃだめでちゅよー』
「どこが荒いっつーんだ!!」
「っだ!!」