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刑事とJK

第97章 根城の裏で笑う者




「最初は、何度も遠藤刑事を呼んだんです」



そう言いながら、嘉山は扉をノックした。




「でも、返事は無かったんだな」



「はい。
ですから引き返そうとしたんですが、そのとき中から音が聞こえたんです」




「"ごとん"だったか…」



嘉山は頷き、部屋に入って来た。




「入ると部屋は真っ暗で、スイッチを探して電気をつけました」




一旦消し、再び電気をつける。




「明るくなると、デスクの後ろから足が見えたんです。
ここからは確か…膝から下が見えてたと思います」




「だろうな、遺体があった場所がちょうどその辺りだ」




「はい、で…」




嘉山はデスクの横を通り過ぎ、遺体のあった位置の手前まで足を進めた。




「ここまで来て、ようやく分かったんです。
遠藤刑事が頭から血を流して倒れていることに…」




「その時は仰向けだった。
だから顔がはっきり見え、"遠藤さんが"倒れているって確信したんだな?」




「はい…」




「そしてすぐに助けを求めた…」




斉藤は扉の前まで足を進め、嘉山の方を振り返った。




「この時、おめぇは一切遠藤さんに触れてなかったんだな?」



「この時だけじゃないです。
一度も触れてません」




嘉山は廊下に出ると、顔だけを覗かせた。





「どうしましょう、再現するなら藪内刑事も一緒の方がいいんじゃないですか?」




「…ああ、そうだな」




斉藤の返事に、嘉山はニッコリと笑った。





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