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刑事とJK

第98章 根城の裏で笑う者〜後編〜



――――――




彼女…恭子は、至って普通の女の子だった。



周りから見ると極度に暗い人間だったそうだけど、僕はそうは思わなかった。




「あっ」


「ごめんなさ…っ」




廊下の曲がり角をすれ違った瞬間にぶつかった。



彼女の頬は


ほんのり桜色をしていた。





「大丈夫?
ごめんね、前見てなかったから…」



「いぃぇ…大丈夫です…」




ただの恥ずかしがり屋なんだ。



人前では自分を上手く表現できない、不器用な子だったんだ。




「い…急いでるんで…すいません」



彼女は頭を下げると、僕を通り過ぎて走っていってしまった。



「…」




人がどうして彼女をのけ者にするのか解らない。



それは僕にとっては


昔も、今でも、解らない…








――――







「あ、昨日ぶつかった人だ」




図書当番に当たっていた僕は、本を借りに来た彼女に笑いかけた。




彼女は顔を真っ赤にさせて


「す、すいませんでしたっ…」

本を借りずに、引き返そうとした。





「何で何で!?
借りたらいいじゃんっ」



手を伸ばしても、机が邪魔で届きそうになかった。


だから僕は、必死に彼女を呼び止めた。






「…」




彼女は目をあちこちにやってから、ようやく観念したようにこっちへ足を戻した。





「…」



黙ったまま差し出される本…表紙から、詩集なんだとわかった。




「詩とか…好きなんだね」




裏表紙に挟んであるカードにハンコを押す。



彼女はその動作を、ひたすら目で追っていた。







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