刑事とJK
第98章 根城の裏で笑う者〜後編〜
「嘉山君は、警察官ってどう思う?」
驚いた。
彼女の口からは、もっと詩人とか、そういう柔らかいイメージのある物が飛び出してくると思っていたのに…
「警察官かぁ…かっこいいね。
…もしかして恭子、警官になるのが夢なの⁉」
「うん、そうなの」
なんの迷いも見られないその目は、キラキラと輝いて見えた
「婦人警官ねぇ…恭子は似合いそうにないや」
「ええ?
どういうことよ」
冗談の通じ合う会話は、本当に心地よかった
「困ってる人を助けてあげたい…
自分にできることって、本当に少ないから…」
「へぇ…」
その頃の僕は、将来の夢とか曖昧で
どこぞのサラリーマンでもやっていれば、生きていけるなぁ
なんて考えしか持ってなかった
でも…
「じゃあ僕も、そういう職業に就こうかなぁ」
彼女についていってみるのも
悪くないと思った
「何それ、そんな甘い道じゃないんだからね」
「わかってるわかってる。
頑張ってる恭子のそばにいるんだから、頑張れるよ」
今でも忘れない
その言葉を聞いた時の恭子の嬉しそうな顔ときたら…
こんなにも照れ臭そうに笑った顔、今でも忘れるわけがない
だってまさか、この愛しい人の幸せそうな顔を見られるのが
これが最後だなんて
この時は
思いもしなかったから