刑事とJK
第16章 過去
デパートの中は暗かった
「小泉は…?」
『わからない』
動いていないエスカレーターを上り、
2階をくまなく回ったが、何もない
もう一度エスカレーターを上り、3階に来た
『…斉藤、聞こえるか?』
「…子供の声か」
耳を澄ますと
微かに奥から子供の泣き声が聞こえてくる
『行くぞ』
二人は周りを気にしながら
ゆっくり足を進めた
子供の声は少しずつ大きくなってくる
「…いた」
奥に、泣いている子供の姿が見え、
容姿から誘拐された少女だとわかった
村上は急いで子供に近づき、
その頭を撫でてやった
『もう大丈夫だよ?』
子供はしゃくりあげながらコクコクと頷いた
その少女をよく見てみると、
足が鎖で繋がれていることに気付き
目で追っていくと、鎖の先は大きなダンボール箱に続いていた
村上はその箱を開ける
『っな…!!』
一目でわかった
箱の中身は爆弾だった
「どうした?」
『斉藤!!
早く爆弾処理班を呼べ!!』
それと同時に、
少し遠くでドオンという爆発音が聞こえた
地響きで地面が揺れる
「なんだ…!?」
「こんにちは刑事さん」
村上と斉藤は振り向いた
ヒゲの伸ばし、
少し薄汚れた服を着た男が立っていた
『お前…が小泉か!!
今の音はなんだ!?』
小泉はくくっと笑った
「俺の逃げ口を作ったのと、入口を崩したよ、
これで応援はしばらく来れないね。
くくっ、そっちの方も気をつけたほうがいいんじゃない?」
村上はダンボール箱の中を覗いた
爆弾には、4:37と刻まれていて、
その数字はどんどん減っていく
村上は顔を歪めた
『時限爆弾…』
「っんだと!?」
「じゃあね、刑事さん
子供を見捨てようが、無駄な努力をしようが、
好きにするがいいよ」
小泉は走り出した
「あ、待てこの野郎!!」
斉藤がその後を追いかけようとする側で、
村上は拳銃を取り出し、鎖に向かって撃った
しかし、切れそうな気配はない