刑事とJK
第28章 道を示してくれたもの
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『そ、それで…?』
ゆうひの表情は真剣だった
「それで…オレは長谷川さんの家に招かれたんだ。
小さい一軒家だったんだけど、
そこでお世話になりながら、刑事のノウハウを教えてもらった」
今でもよく覚えている…
たくさんの本、
家の半分ほどある稽古場、
長谷川さんのまずい手料理…
「結局、オレが採用試験に受かるまで
面倒見てくれたよ、あの人は」
『そうなんだ…、
なんか…すごいね』
ゆうひは前に向き直った
『その、長谷川さんは、今何してるの?』
「確か…アメリカの方に行ってんじゃねぇか?」
『アメリカ!?』
「大出世」
『斉藤は…行かないでね』
「行かねぇよ、ってか行けねぇよ」
『ああー、良かった~』
ゆうひはホッとした
だいぶ、日が落ちてきた
「じゃあ、今日はここまでだな」
『うん、ありがとう』
斉藤はゆうひの頭を撫でた
「じゃあな」
『バイバイ、またね』
ゆうひの背中が小さくなっていく
斉藤はひとり、刑事課へ戻る
――――――長谷川さん…
あんたのことは絶対忘れねぇよ…
たとえ、もうこの世にいないとしても…
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長谷川は、アメリカでの任務中に犯人に銃殺された
もう、4年も前の話だ
斉藤もこのことは知っていた
ただ、ゆうひには言えなかった
どうせまた泣くだろうから
それに…
長谷川にもらった命は、まだここにある…
まだここで…生きている