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刑事とJK

第43章 恋ガタキ



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「北田が死んだだと…!?」




その知らせを聞き、南は村上が心配になった



北田は、自分や村上の同期であり、
とくに村上は北田と仲が良かった



北田の死は、
もちろん南にとってもつらかったが


それでも何よりも、村上が気にかかった






南は慌てて

村上のいる部屋に向かった…が…






窓から見えたのは村上と


そして斉藤だった





部屋の前で南は足を止め、中の様子を窺った













泣き出しそうな村上を、

斉藤は抱きしめた…



南は唇を噛んだが、
別にそのことは大して気にしなかった




それより、一番南が見たくなかったのは


抱きしめてきた斉藤を、

拒むことなく、


むしろ受け入れた村上の手だった







その手は震えながらも


しっかりと斉藤の背中を掴み、


放そうとはしなかった










弥生が選んだのは…斉藤だった



俺が抱きしめた時は、

自分から離れたのに…




あいつの時は、

何ですんなりと抱きしめ返してるんだよ…








南はただ黙って、その場を離れた







弥生の心は…斉藤にあったんだ…






――――――――――





それから続けて起こった悲劇




それは南を参らせた




涙は出なかった

涙すらも、奪われたんだ…




あいつに


斉藤に




弥生の心も



弥生の命すらも…





「…爆発で、死んだとか、ははは…
斉藤、お前一緒にいたんじゃないのか…?
弥生と一緒にいたんじゃないのかよおぉ!!!」






それからすぐに、
南の人事異動が決まった



少し遠くの刑事課で働くことになったのだ




「これでいい…
ここはもう、嫌な思い出しか残っていないから…」





南は快くこの異動を受け入れた









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