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刑事とJK

第45章 謎のおじさん







『…また落ちた』



ゆうひはメモ用紙に書いてある項目を
線で消した



『ほんとめんどくさい…』



ベッドの上に突っ伏す




ゆうひはここ最近、
就職活動で忙しかった


もう何社も面接を受けたが、
落ちてばかり




『さすがに、落ち込むー…』




大学という選択肢はもう完全に消えた


浪人する気はない



そう、もう社会に出る道しか
残されていないのだ




『ニートゆうひ…』



独り言



悲しすぎる





『あたしも、刑事になろうかな』





…まず無理だね




はあ…誰か、
誰か救いの手を差し延べてください…



その時、部屋の外で何かが倒れる音がした





『…?』




不思議に思って、恐る恐る扉を開けた





するとどうだろう

目の前に見たこともないおじさんが
俯せに倒れていた



『…』




身なりの少し汚いおじさんは、
ピクリとも動かない




『…死んでる…?』




その時、おじさんはバッと顔を上げた



『ぎゃあ!!』



ゆうひは驚いて、
勢いよく扉を閉めた






…な…何あの人…!!



怪しいってか、恐すぎる…!!







ゆうひはもう一度、
ゆっくり扉を開けた


すると、本当にすぐ目の前におじさんの目があった




『ぎゃああ!!!』



扉を閉めようとしたとき




「ま、待って待って!!!
君、僕に何か食べ物を恵んでくれないかい!?」



『え…?』



ゆうひは迷ったが、一旦扉を閉め、
チェーンを掛けてからもう一度開けた



『…何でも、いいの?』



「うん!!
食べ物なら何でも!!」



ゆうひは仕方なく、
冷蔵庫にあった魚肉ソーセージを
扉の隙間から渡した




「うおおおっ、食い物!!
ありがとうねお嬢さん!!」




おじさんはソーセージを外でバクバクと食べはじめた






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