刑事とJK
第57章 破壊
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「山崎さん!!」
パトカーから下りた山崎は、
声のするほうを振り向いた
「君は確かぁ…斉藤君の後輩の嘉山君だったかなぁ?」
「はい!!
勝手について来てしまってすいません」
シゲはペコッと頭を下げた
「いいよいいよぉ、
人手は多いほうが助かるから」
山崎はニコニコとしたが、
すぐにその表情も一変した
「事件の内容、わかってんのかい?」
「聞きました…
犯人は、建物の中に
人質を取って立て篭もっていると…」
「そのとぉーり」
山崎とシゲは
目の前に立つ高い建物を見上げた
すると、警官が山崎に伝えた
「人質は、この近くの華道教室の
先生と生徒だそうです」
シゲはこの言葉に敏感に反応した
「華道…教室?」
「人数は?」
「全員で9名だそうです」
「他にぃ、わかっていることは?」
「犯人は、一億円を要求しています」
山崎は手を頭に乗せた
「まーた無茶苦茶な金額をぉ…」
シゲには、山崎と警官との会話が
聞こえていなかった
華道教室の先生とは
ひょっとすると千花のことじゃないのか…?
どうしてよりによって…
と
そればかりが頭を巡っていた
「…」
もし千花さんに何かあったら…
僕は…
「こぅら、ぼんず!!」
シゲは山崎にビンタされた
「痛っ!!」
「顔が死んどるわぁ!!
ちゃんと集中せんかぁ」
「す、すいません!!」
シゲはもう一度、
今度は自分自身で頬をビンタした
今は…
刑事として集中しろ…!!