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刑事とJK

第63章 第一歩








前から、優しい手が伸びてきた


ゆうひはその手を取り、顔を上げた




また優しく微笑む斉藤




初めて会ったときは、
斉藤がこんなに優しい顔をするとは
微塵も思っていなかった







でも、この優しい笑顔を含めて、

仏頂面も、しかめっ面も、泣きっ面も



全部


全部が大好き










ゆうひは斉藤の隣に立った




牧師のお決まりのセリフ





「――――斉藤正貴は、
斉藤ゆうひを一生愛することを誓いますか?」




「誓います」




牧師はゆうひを見た




「斉藤ゆうひは、
斉藤正貴を一生愛することを誓いますか?」




「誓います」





でもね、牧師さん


ひとつだけ間違ってるよ









「それでは指輪の交換を」









あたしは斉藤を愛する



でもね…









指輪の交換を行うと、
斉藤はゆうひのベールをめくった


少し照れて、赤く染まった頬が覗く









あたしは斉藤を愛するけど



きっと…いや、絶対に…








「誓いのキスを」











斉藤はゆっくり顔を近づけた


ゆうひはそれに合わせて、
少しだけ顔を上げる














…一生が終わっても、あたしは斉藤を愛しつづけるよ















唇が重なると、
ふんわりとした温かい空気に包まれた








チャペルには、拍手が鳴り響いた―――――




















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