刑事とJK
第66章 刑事始動
「まずは…」
と、斉藤は歩き出した
ゆうひも、後をついていった
「アンソニーさん」
「ハイ、何デショウカ?」
アンソニーは昼食の準備に取り掛かっていた
が、その手を止め、
斉藤の方へ向き直った
「包丁は、昨日のいつ頃からなかったんっすか?」
「ソウデスネー…
初メニ気付イタノハ、夕食ノ片付ケ前デシタカラ…
夜ノ11:30頃デシタネ」
「11:30頃…
あざーっした」
…三宅を殺した犯人は、
夕食後に包丁を手に入れた
つまり、もともと三宅を殺すつもりは
なかったってことか…
それとも、包丁を盗むことは前々から考えのうちで
最初から三宅を殺そうとしていた…
それなら逆に、
1番怪しいのは三宅舞ということになる…
三宅舞以外は、三宅武志と昨日出会ったばかりだ
たった一日くらいで、
殺すに至るまでの殺意が芽生えるとは思えない
"人間ほどぶ厚い皮を被った生き物はいない
その笑顔の裏で何を考えているのやら…"
長谷川の言葉が頭をよぎった
確かに…人間の心理ってのは掴み所がない
感情なんてころころ変わる
…だから、動機だなんだと言って容疑者を絞るのは
ほとんど間違っている…
「全員を疑ってかかれ…」
『へ?』
「いや、なんでもねぇ…」
斉藤はまた歩き出した