刑事とJK
第69章 敵に塩を送る
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「なぁ斉藤」
「ん?」
藤野に呼ばれ、
斉藤は顔を上げた
その斉藤の口元には、米粒がついている
「まず、それ取れ」
「え?あっ、ほんとだ」
斉藤は親指で米粒を取って食べた
「で、何だよ?
オレ今食事中なんだけど」
「いやぁ悪いな…
何か最近、南の様子変じゃないか?」
「はあ?」
斉藤は藤野の目線を追った
南は椅子に座って窓の外を眺めている
「…青春じゃね?」
「あの歳で!?
ちょっと心配だから、ちょっかい出してきてくれよ」
「やだね、めんどくせぇ」
斉藤は再びカツ丼を食べ出した
「ちょっかい出してきてくれたら、
コーヒーおごるから」
「…。
一週間分な」
斉藤はそう言って立ち上がった
「おい、南」
「…何だ…?」
南は外を向いたまま返事した
「…」
斉藤はそばに置いてあったペットボトルで
パコッと南の頭を叩いた
すぐに反撃が来ると思って身構える
が、南はこっちを振り向きもしない
「?」
確かに
様子がおかしい
斉藤は南の前に回り込んだ
真正面からペットボトルで頭を叩く
が、無反応
「…何かあったんか?」
これにはさすがの斉藤も
少し心配になった
南の顔は、明らか魂が抜けきっている