All Arounder
第3章 All Arounder
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照明の薄暗い部屋の中
机の前で、椅子に腰掛けている男がいた
何かを待っているのだろうか、ソワソワと膝をさすっている
ガチャ
と扉が開き、男は振り返った
「待たせてすんません」
「いえ、全然…さっき来たばかりなので」
自分も男の前の席に座り、話を始める
「初めまして、斉藤大志と言います」
「は、初めまして…」
男は緊張しているのか、目がキョロキョロとしている
しかしその目は、スッと大志の顔を見据えた
「頬に、痣できてますよ…?」
「ああ、これは…」
大志はさりげなく手で痣を隠した
「…電柱にぶつかったんです」
…だから今日は親父と喧嘩したくなかったんだ!!
「大丈夫、ですか…?」
「ご心配なさらずに」
相手に変な心配をさせないよう、こっちは営業スマイルで接する
「で?」
大志は手のひらを合わせると、前屈みになって尋ねた