All Arounder
第12章 That's Theft
「大志、こんなにたくさんのぬいぐるみ、どこから持ってきたの?」
ゆうひの質問に、大志は顔を背けた
オレ知ーらね、といった感じだ
「にぃたん…みそらのぬいぐるみ、ない」
美空は、潤った宝石のような瞳を大志に向けた
それを見た大志は、悲しそうな表情を見せ
美空の頭を撫でた
「みそら…ごめんな」
「…」
ゆうひは、そんな大志を見ていることしか出来なかった
―――――
「ただいまー、ゆうひ腹減ったー」
斉藤が仕事から帰ってくると、ゆうひが迎えてくれた
「お帰り、斉藤…
あのね…大志がさぁ…」
話を聞いた斉藤は、ずかずかと足を進め
テレビゲームに夢中になっている大志を引っ張った
「父さん、いたい…」
斉藤は、不快そうな顔を見せる大志の前にしゃがみ込み
目の高さを同じくして喋った
「大志」
「?」
「母さんの言ってたことは本当か?」
「…」
「大志、答えろ」
「…」
「大志!!」
「斉藤…もうちょっと待ってあげて」
ゆうひがそう言ったので、斉藤は苛立ちながらも大志を離した