All Arounder
第14章 Secret Smile
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目を覚ますと、斉藤はベッドから起き上がった
軽いめまいに襲われ、ふいに頭を押さえる
「…あー…」
隣にはもうゆうひはいなかった
毎日毎日、朝早くに起きては飯を作ってくれる
何となく部屋の中を見渡していると、姫の顔が頭に浮かんだ
「…」
姫の泣き顔や、肌の舌触りが
まだ微かに感覚として残っていた
親子ほども年の離れた女の子に求められるとは…
「…オレもまだまだ捨てたもんじゃねぇな」
変に優越感に浸りながら、1階へと下りて行くと
ゆうひも美空も大志も姫も、全員食事を取っていた
「おはよう」
「あ、お父さんおはよ」
「斉藤おはよっ、あたしもうすぐ食べ終わるから待っててね」
ゆうひはお椀に入った白米をパクパクと食べてしまうと、席を立って斉藤に譲った
「わりぃな」
「全然、じゃあ行ってきます」
ゆうひは本当に朝が早い
少しばかり、申し訳ない気分だ
席に着くと、手前に座っている姫と目が合った
昨日のことが気になってか、姫は『おはようございます…///』と言いながら目を逸らした
可愛いな、この野郎…
だがまあ、気まずいことに違いはないだろう
たとえ自分に嘘をついていたとしても、誘ってきたのは姫からなのだから…