All Arounder
第14章 Secret Smile
「はあ?
全く?」
「全くだ。
写真は一枚も残っていないし、防犯カメラの映像も録画機能がついていない。
それどころか、その令嬢の名前すらわからない状況だ」
「…ありえねぇだろ」
「だから、刑事課にこのヤマが回ってきたんだよ」
斉藤は手に顎を乗せて考え込んだ
ここでひとつ疑問が出てくる
「…西浦家には、使用人はいねぇのか?」
「いるっちゃいるが…
誰も名前を知らないんだ。
顔は見たことがあるから、今は証言をもとに似顔絵を描いてもらっている」
「そっか…しゃあねぇな」
斉藤は立ち上がった
「どこへ行くんだ?」
「決まってんだろ、現場検証だ」
斉藤はシゲを引っ張り、部屋を出て行った
正体不明の財閥の令嬢か…
また面倒な事件が回ってきたもんだ