All Arounder
第18章 Necklace
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「かぁ~やっぱマスターが作ったカクテルうめぇ!!」
井上はグラスをタンッと置いた
「マスター、いい加減オレにも酒出してくれよ」
「お子様にはまだ早いよ」
「ちっ」
大志は仕方なく、りんごジュースを飲んだ
「…今回は撒けたけど、次に使用人たちに出会ったらどーすんだ?」
井上は大志と姫の顔を覗いた
大志はそんなに気にしていなかったが、姫の表情は曇った
『あたしは…帰りたくない』
「…だそうだ」
大志も井上の方を振り向くと、井上は微笑した
「姫ちゃんわがままー」
『だって…』
「だから心配すんなってば。
ちゃんと30億分の働きはするからよ」
ポンポンと頭を叩いてくれる大志の手が温かく…姫はほっとした
外はだいぶ暗くなってきていた
ここらで大志と姫は帰ることにする
「じゃ、また明日なー」
井上が手を振ると、
姫は手を振り返し、大志は微笑だけ漏らして酒場を出て行った
「大志のやつ、鼻で笑いやがったー」
「退斗の顔が面白かったんじゃないか?」
「マスターひでーよ、罰としてもう一杯おごって」
「仕方ないなぁ…」
テーブルの上に、コトッとグラスが置かれた