All Arounder
第19章 Tell A Lie
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その日もいつも通り…
酒場へ向かい
ろくな依頼もないまま
井上やマスターと雑談し
暗くなってきたので酒場を出る…
その帰宅途中だった
「あー…マスター、いつになったら酒飲ませてくれんのかなぁ」
『あと二年じゃん…ってか飲んだことないの?』
「ある」
『…中学の時?』
「ああ。…何で知ってんだよ?」
『え…』
大志のお母さんが、大志は中学の時にグレてたって言ってたから…
ってことは言えないよね
『直感』
「…ふーん」
まだ指で数えるほどしか、この道は通っていないが
姫にとっては馴れ親しんだ道だった
立ち並ぶ住宅や、どうでもいいような立て看板
時折見かける野良猫も、隣を歩いてくれる大志も…
全部が全部、大好きになっていた
「姫」
『っ…何?///』
姫が大志の顔を見上げると、大志も姫を見た
「早く笑えるようになったらいいな」
胸が
痛かった
『…そう…だね』
大志の屈託のない笑顔は
あたしの胸を
締め付ける