All Arounder
第19章 Tell A Lie
『何するつもりなの…?』
「お嬢様は黙って見ておいてください」
黒羽は車から下りると、そのまま車にもたれかかった
姫はと言うと、車内で他の使用人に捕まれている状態だ
黒羽以外の使用人は、ゆっくりと大志に近づいていく
『やめて…大志には何もしないで…』
黒羽に視線を送るが、黒羽はこちらに見向きもしない
「てめぇら…さっさと姫を離しやがれ」
大志は頭の痛みをあまり悟られないように振る舞った
「お嬢様をたぶらかした者が、一体何を言う!!」
使用人たちは一斉に大志に襲い掛かった
「しゃらくせぇなぁ!!!」
大志は真正面から突っ込み、まずは腹部に蹴りを入れた
蹴りだけに収まらず、拳も頭突きも
ありとあらゆる手を使い、目の前の敵を倒れさせた
しかし、こちらの体力も厳しいところにあるのか、全く力が入らない
これではどれだけ攻撃が決まろうと、相手はなかなかダウンしないだろう
「ハァ…ハァ…くっそ…」
疲労と激痛に、頭から足の先まで汗が吹き出るようだ
しかしそんな大志の隙を付き、また頭に一撃を入れられた
「っ…」
必死に耐えたが、膝は震え、立っているこも困難だった
しかし向こうの手は休まない
次から次へと、大志に傷が刻まれていった