テキストサイズ

All Arounder

第20章  Side By Side






「お嬢様が誘拐され…使用人の皆が、お嬢様を探しだそう、と言い出したのです。
私はもちろん話に乗りましたが…まさか、本当の目的はあのネックレスだったなんて…」




なかなか顔を上げない黒羽に、大志は話し掛けた




「マジで、迷惑な話だった」




『ちょっと大志っ…』





「おかげで見ろ、この頭、さっきまで割れてたんだからな」



大志は自分の頭を触ってみせた


"さっきまで"…ということは、もう傷は塞がっているのだろうか?


姫は疑問に思いながらも、あえて突っ込まないでおいた





「…別に…あなたに謝ったつもりはない」




黒羽の発言に、大志の眉がぴくりと動いた




「今、何つった?」




「だから、俺はあなたに謝ったつもりはない」




『く、黒羽…』



「お嬢様…私はただお嬢様のためだけに今まで仕えてきました。
しかし私の今回の行き過ぎた行動、どうか許してもらえませんか?」



「…」




…こいつ、姫の時は"私"のくせに
それ以外が相手の時は"俺"って言いやがる…


この無駄な使い分け…正直うぜぇ


ってかこいつの性格…マジうぜぇ




「お嬢様…許してもらえません…か?」



『許す許す』




「…ありがとうございます」




黒羽は嬉しそうにほほ笑むと、ひざまづいて姫の手を取った



そのまま、その手の甲にキスを落とした




『えっ///』





ストーリーメニュー

TOPTOPへ