All Arounder
第20章 Side By Side
走って引き返そうとする姫の腕を、大志は掴んだ
「いいって」
『ダメだよ、報酬はちゃんと払わなきゃ…』
「いいから」
大志は掴んでいる手を、さらに強く引いた
「わかったから…
報酬よりも大事なもん…」
大志は
顔を背けた
『え…?///』
「報酬よりも…
姫が大事…」
姫は大志の顔を見上げた
ほんのり赤くなった頬を見て、思わず腕にしがみついた
「おいっ…///」
『あたしも…大志が大事…///』
ふと大志は、姫の顔を見た
そしてつい、口元が緩んでしまう
暗がりでもよくわかったのだ
やっぱり
すげぇ可愛い
怒ったり泣いたりしてるより…
笑ってる顔の方が
断然可愛い
「姫…もっと笑って?」
『え?///』
「オレに…笑顔見せて」
何の突っ掛かりもなかった
笑うって
すごく簡単なことに思えた
口元が上がると、視界がキュッと狭くなるの
その間から見えたあんたの笑顔が
あたしをもっと幸せにしてくれる
『ほら///』
「ああ…姫、笑ったな///」
大志は、姫の頭をくしゃくしゃとした
笑えなかったなんて、嘘のようで
ちょっとしたことでも
大志と一緒にいると
笑顔になれるよ