All Arounder
第21章 Forbidden Love
『え…?』
「今日、学校に連絡取ったんだ。そしたら大志の奴、出席日数全然足りてねぇって、オレが先生に怒られちまった」
口元は笑っていたが、目は笑っていなかった
…気づいてる
『そういえば…大志はあんまり、学校で見かけない…です』
「一緒に学校行ってんのに?」
『学校に着いたら…いつもいつの間にかいなくなっていて…』
「帰りは?」
『下校時間になると…校門の所で待っていてくれるんです…』
頭に思い付いたことを、次々と並べていった
…この人は、何か気づいてる
「ふーん…」
その時、斉藤の腕がこっちへ伸びた
!!
思わず身を縮める
するとその手は、姫の頭にポンッと乗った
『え…』
斉藤は優しく笑っていた
その理由は、全くわからなかった
「ありがとな、んじゃ、お休み」
それだけ言うと、斉藤は立ち上がって浴室へ歩いて行った
『…』
姫はリビングで一人になった
そのことに気づくと、全身から汗が吹き出るくらい
心臓を圧迫される思いがした
姫は急いで2階へと駆け上がり、大志の部屋へ入った
無我夢中でベッドに入り込むと、頭まですっぽりと布団を被る
『…気づいてる…』
斉藤さんは…絶対何か気づいてる
あたしの秘密か
大志の秘密か
もしくは両方の秘密に、気づいてる…
『…大志ぃ…』
早く帰ってきて…
お願い…