All Arounder
第24章 Parasite
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「家を出ただぁあー!!??」
すぐ目の前で井上が叫ぶので、大志は耳を塞いだ
「うっせぇな」
大志は耳から手を離すと、とりあえず持っていた荷物をテーブルの隣に下ろした
「それじゃあ、お前らどこに住むんだ?」
マスターは大志と姫の方を見ると、コトッとカップを置いた
姫も大志の顔を覗く
『どうすんの?』
「そりゃあ…酒場に住む」
大志がそう言うと、井上はポンッと手を叩いた
「そりゃーいいじゃねーか、通勤時間省けてラッキーだなっ」
「だめだ」
マスターの声に、全員の視線が集まる
「酒場は俺の神聖な場所だ。
住まわせるわけにはいかないな」
『…でも、前に一回泊まったよ』
「あれは大目に見てあげたんだよ」
マスターはカップにお湯を注いでいった
「そう言うなよマスター、掃除とかちゃんとすっからよぉ」
「だーめだ」
『マスター…』
「姫ちゃんのお願いでもだめ」
大志と姫は、ムスッとした顔をマスターに向ける
「どんな顔しようとだめだ。諦めろ
…退斗の家に行ったらどうだ?」
「え?」