All Arounder
第26章 Encounter
『ちょっと退斗…!!』
姫がバッと振り向くと、井上は舌を出していた
「全部がほんととは限らねーからっ」
『た…退斗なんて大っ嫌い!!
もう口も利いてやんないー!!』
姫は部屋の奥へと隠れてしまった
「…」
大志はそっと様子を窺う
「…姫?」
姫は隅っこで、いじけて縮こまっていた
ふてくされた顔を少し上げる
『…何?』
「…何を勘違いしてたんだよ?」
『…ち』
「は?」
大志はもう少し耳を近づけた
『たくさんの女と…えっちしてた…って…///』
自分で言うのも恥ずかしくなってきた
井上が言った嘘をまともに信じたことが情けない
何より、大志を最低呼ばわりした自分に腹が立つ
大志はケロッとした顔をした
「え?
あ…そういうことも、もちろんやってたけどな」
『は?』
「しょっちゅうはやってねぇよ?週に2、3回だ」
『最低!!!!』
「さぁて、そんでシチューはどんなんがいいんだ?」
『何でもいいからー!!!』