All Arounder
第29章 I Will Wait Till You Come
『やっ…んん!!』
必死に退かせようとするが、黒羽はびくともしない
どうしようもない乱暴なキスに、憤りさえ感じる
「どうしました、お嬢様?
そんなに体をよじらせて…こっちの方が触ってほしいと?」
黒羽の手は、服の上から姫の股上辺りを触れた
『黒羽っ…やめて、何でこんなことするの…!?』
「涙目…そそりますね、お嬢様は男の誘い方をよく知ってらっしゃる」
『…っ』
黒羽は
どうかしてしまったのか
きっとそうだ
それしか考えられない…
『黒…羽…』
「クスッ、もっと私の名前をお呼び下さい」
ポンッと黒羽の肩に手が置かれた
「…?」
振り返ると、突然頬に衝撃が走った
その衝撃に、黒羽は思わず地面に手をつく
「ほんと…乱暴な方ですね」
切れた口から出た血を拭うと、黒羽は胸倉を掴まれて立たされた
「夜這いたぁいい度胸してんじゃねぇか…
とんだ使用人だな」
「男女の仲に身分など関係ないのでね」
バキッ!!と、大志はまた黒羽を殴った
姫はとっさに口に手を当てる
「てめぇがどこの女とやろうがどうでもいい…
けどな…姫に…嫌がる姫に無理やりってのは、オレが許さねぇ」
「お嬢様が嫌がっていたとでも?
それはあなたの、勝手な解釈の間違いですよ」
「…!!」
また手を振り上げた時
『やめて…!!』