All Arounder
第31章 Have A Gun
「大志が生まれるより前の話だ…うち(酒場)に一人のバイトの子がいてな
それが七香ちゃんだった―――」
―――――――
―――
「七香ちゃん、カクテルひとつ」
「はーい」
澄んだ声は、酒場を潤すようだった
「どうぞ」
前向きで、本当にいい子で…とても可愛かったよ
―――
そんなある日
「マスター、おはようございます」
「おはよう七香ちゃん、…その子誰だい?」
七香ちゃんは小学生くらいの男の子を連れていた
「まさか、子供…?」
「違いますよっ、弟です弟!!」
「弟?」
少年は俺の顔をじっと見た
さすが姉弟だけあって、どこと無く似ている
弟も整った顔で、なかなかの男前だった
「坊や、名前は何て言うんだ?」
「退斗」