All Arounder
第6章 Expressionless Princess
バタバタと、廊下で音がした
「!!」
大志はその音に気づくや否や、ベッドの下へと潜り込んだ
『…何遊んでんの?』
「遊んでねぇよ!!
オレがここにいること、言うんじゃねぇぞ!!」
なんて、言ってる自分が情けない
思ってたより早く、屋敷の奴らにバレちまったな…
そうしてベッドの下で息を殺していた
廊下の足音はこの部屋の前で止まり、
バンッと勢いよく扉が開いた
「いたぞ!!」
「西浦財閥の令嬢だ!!」
部屋に入ってきた人間のセリフに、大志は違和感を覚えた
"いたぞ"?
何だこいつら…屋敷の人間じゃねぇのか?
続いて凛とした声が響いた
『誰?』
…西浦姫も見たことがねぇ人間か?
「…」
大志はそのまま耳を澄ませた
「"誰?"だとよ
あんた西浦姫だな、
恨みはないが…ここで死んでもらう」
まさか
あの矢車って男、オレら以外に何人か雇ってやがったのか…?
ビンッとロープを引っ張る音がした
『…』
西浦姫は何も言わない
待てよ…?
もしここで西浦姫が殺されちまったら
誘拐出来なかったオレに金は入らねぇ…
つまり、1億がパーに!?