All Arounder
第40章 Care For You
「あーいてぇ…んないきなり殴ることねーだろ゙…
顔の形変わったらどーずんだ…?」
井上は殴られた顎を押さえた
「ふん、変態にはそれくらいが丁度いいやろ」
葵は使った毛布を畳み始めた
「ったく…よいしょ」
「?
どこ行くん?」
「置いてきた荷物取りに行ぐ…ん…だあ?」
ドタンッ!!
立ち上がった井上は、突然のめまいにその場に倒れた
「ちょっ…どうしたん!!??」
葵は急いで駆け寄り、井上の体を揺すった
井上は自分で仰向けに転がり、頭を押さえた
「…頭痛…」
「へ…?」
葵は井上の額に手を当てた
明らかに熱を持っている
「あんた…風邪引いたんちゃう?
めっちゃ熱いで」
「引いでねー…」
「鼻声やし、喉も死んでるやん。ちょっと待ってい」
そう言うと、葵はさっき畳んだ毛布を床に敷き
井上にそこで横になるように言った
「熱なんてあってねーようなもんらろ…」
「舌回っとらんわ」
葵は微笑しながら、横になった井上の上に服を掛けていった
「お前…親のとこ、行かなくていい゙のかょ…?」
「別にうちはいつでもええねん。そういうあんたは、誰かに連絡せんでいいんか?」
「…ここって、電波通じんの゙…?」
「ぎりぎりな」
「携帯…」
と小屋の中を見回したが、荷物は置いてきてしまったことを思い出した
それに気づいたのか
「ええで、取って来たるわ」
と、葵は外に出ていった