All Arounder
第40章 Care For You
「落ち着ぃたか…?」
自分の肩に顔を埋める葵の髪を、井上はゆっくりと撫でた
「…」
葵は黙ったまま、コクコクと頷いた
気性の荒かった葵がこうも大人しいと、無駄に笑えてくる
「…死なんとってや…」
「言われなくても…わかってら…」
目が合った
葵のキュッと結んだ唇に指を触れさせ、自然と顔を近づける
「あ!!!」
「は?」
葵は井上を押しのけ、バタバタと走った
「退斗!!松茸!!」
葵が指差した先には、30cmどころではない
40、50cmほどの松茸が生えていた
…きしょ
「ほら退斗!!はよぅ抜こうな!!」
葵はまだかまだかと井上が来るのを待っている
「体動かねーんだけど…」
「ジジイか、ほんまに世話焼けるなぁ!!」
「お前、俺の健康状態をよく考えてみろ…」
葵は井上の隣へ駆け寄ると、体を起こすのを手伝った
肩を貸し、上体を起き上がらせる
ちゅ
「は…?」
葵はポカンとした顔を井上に向けた
「ほっぺ、ごちそーさま」
「ちょっとぉお!!///」
「スゲー土の味がしました」
「ほんまにやっぱりシネ」