All Arounder
第45章 Apologize
「んじゃ、オレら酒場行ってるわ」
そう言って、大志と井上は外へ出て行った
井上がいなくなった瞬間
葵の中で、緊張の糸が切れた
そして自分でも気づかないうちに
泣いていた
『あ…葵ちゃん!?』
姫は驚き、身を乗り出した
「ご…ごめん…何もあらへんから…」
『…』
姫は、向かい合って座るのをやめ、葵の隣の椅子に座った
背中をトントンと叩くと、葵が崩れていきそうになったので
優しく抱きしめた
「ふぇえっく…ぁああんっ…」
『…』
―――――――――――
「大志」
「あ?」
こっちの二人は、今は酒場へ向かう途中だった
「昨日、声聞こえてたか?」
「…ヤったのか?」
「…」
井上は黙り込んで足を進める
「オレも姫もさっさと寝ちまったから、別に何も聞こえなかった」
「…そっか…お前は、姫ちゃんとヤんなかったわけ?」
「だって姫、キスしてる間に寝やがんだぞ?」
それを聞いた井上は、微笑を漏らす
「大志は…我慢できてすげーな」
「…」
「俺は…無理だった…」