All Arounder
第45章 Apologize
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「俺、ダメ人間だ」
「最初っからだろ」
今日はいつもの街中を歩かず、少し遠回りして川に沿った道を歩いた
「どうしたらいいんかなー?」
「何が?」
井上は道端の石ころを蹴飛ばした
「葵…ヤった後、ひとりで泣いてた…」
「…お前乱暴しすぎたんじゃねぇの?」
「それも…あるかも」
空にはどんよりとした雲が流れていた
雨は降らないだろうが
気分が滅入りそうだ
「乱暴にした女なんて、山ほどいるし…泣かせたのは葵だけじゃねーけど…
みんな、俺に何かを求めてきた…
抱きしめてーとか、キスしてーとか…」
「…」
「でも葵だけは…ひとりで泣いた」
「…お前さ…葵が好きなんだろ?」
「…」
井上の足がピタリと止まる
「ちゃんと言ったのか?
好きって…」
大志は井上の方を振り返った
「…言えるわけねーじゃん」
「何で?」
「俺の"好き"は…信じてもらえねーし…葵には使いたくねーんだよ…」
今まで
女と寝る度に
適当なこと言ってた
"愛してる"
とか
"お前が一番好き"
とか…
そんな俺が葵を"好き"だなんて言っちまったら
葵も他の女と
変わらなくなっちまう