All Arounder
第7章 Make Me Smile
カランカラン
「お、大志も退斗ももう起きてたのか」
マスターが清々しそうな顔して酒場に入ってきた
「あれ?
昨日の女の子は?」
「だから姫ちゃんだってー、奥の部屋入ってったぞ」
井上はケラケラと笑ったが、大志はそんな気分ではない
自分が…間違ったことをしたとは、全く思わない
だが、姫が言ったことも的を射ている気がする
何がってか?
全部だ
「朝飯食ってないだろ。パンでも焼いてやるから、姫ちゃんにも持ってってやりな」
マスターは…言い方は変だが、母親のようだった
「…」
大志は不機嫌そうに口を尖らせた
――――――
酒場にはパンの焼ける香ばしい匂いが漂ってきた
チンッとレンジが音を立てると、良い色に焼き上がったパンは皿に運ばれた
マーガリンを上からたっぷりと塗られ、マーガリントーストの完成だ
「ほい」
「…」
大志はマスターから、トーストの乗った皿を受け取った
そして重い足を運び、姫のいる奥の部屋へと進んだ