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そしてようやく酒場が見えてきた



『あ、大志たち』




丁度遠くで、大志や井上が酒場に入っていくところが見えた




「え」





ただ葵の目に映ったものは


井上が


女と酒場へ入っていくところ





「な…んで…」




『え、葵ちゃん…!?』




葵は走った



無我夢中で走った











いや





退斗が



他の女と一緒にいんの





いやや







バンッ!!




扉を開ける勢いが強すぎて、いつもの"カラン"という音は鳴らなかった



息を切らせた葵を、その場にいた全員が注目する





「あ、…葵…」




どうしたんだ
と井上が聞く前に、葵は千花の元へ歩み寄った




「退斗に近寄らんといてよ!!!」




今にも泣きだしそうな顔をして、葵は千花に飛びついた





「えっ、ちょっ…あなた…!!?」




千花も突然のことに混乱した




「お、おい!!
葵、やめろ…!!」



井上も大志も慌てて葵を引き離そうとした




「退斗に…退斗に手ぇ出したら…うちが許さへんから…!!
あんたが誰であっても…許さへんからぁあ!!!」




「葵!!!」




井上が必死に呼び掛けるが、葵は聞こうとしない



「…」



自分の体をドンドンと叩いてくる葵を、千花はただ黙って、そうさせた




「もうっ、もう退斗にはぁあ…!!!」




その瞬間、葵は腕を無理やり引っ張られ

外へ連れ出された