All Arounder
第45章 Apologize
「葵…」
ふと
井上ではない声で、そう聞こえた
後ろを振り返ると
そこには千花が立っていた
「あ…お、おチビ…」
まさかのキスシーンを目撃されてしまい
井上は顔を真っ赤にさせた
「何照れとんねん」
「うぐっ!!」
葵の肘が、ボクッと脇腹に突き刺さった
「あなた…井上のことが好きだったんですね…」
どこか切なげな顔をする千花に、葵は言った
「ああそや、おかんが何言うても、退斗は渡さへん」
「…え?」
「私はもともと、井上のことは好きでも何でもありません」
「んなこと言うて、実は虎視眈々と狙ってたんやろ」
「だから、そんなことはございません!!」
井上は葵の肩を叩いた
「何やな、今は言い合いしてるとこやねん」
「待て待て、さっき変な単語出てこなかったか?」
「変な単語ぉ?」
葵は井上の方を向いた
「"お"とか、"か"とか、"ん"とか…」
「ああ、このオバハン、うちのおかんや」
お母様ぁあああー!!!???