All Arounder
第46章 Examine For Examiner
物置の中にいる大志と井上は息を飲んだ
シゲだけならば、なんとかなる
それが、
斉藤の出現によって、家から脱出できる可能性が大幅に下がった
何が一番めんどくさいかと言うと、犬の嗅覚並によく働く斉藤の直感だった
大志は扉の隙間からそっと覗いた
ああ、間違いなく親父だ
「二人してこんな昼間に…どうしたんです?」
千花は平静を装う
「いいからいいから、千花は買い物でも行ってきて」
シゲは千花の背中を押そうとしたが、千花はその場で踏ん張る
「買い物ならまだ大丈夫です。それより、ちゃんと理由を説明してください。
仕事をサボって何しに帰って来たんですか?」
千花は強気な姿勢で言った
早くも、シゲが自分の浮気を疑っている
という確信を持ててきたのだ
「…何でもいいだろ?」
シゲは少し不機嫌そうな顔をし、「先輩、何か飲みましょう」と台所へ向かった
大志と井上は顔を見合わせる
早速シゲの手に、例の液体が付着するかもしれない
二人はコツッと拳をぶつけた