All Arounder
第7章 Make Me Smile
「…姫…」
そう呼ぶと
姫はゆっくり、手を離した
そしてあの無表情のまま、大志の方を振り向いた
『…何?』
つねっていたせいで、右の頬は赤くなっている
「マスターが作ってくれた…食っとけ」
姫の前に、皿ごと差し出した
『…いい』
「どうせ腹減ってんだろ」
『いらない』
顔すらも、大志から背けた
「何で食わねぇんだよ!!?」
『どうせ今日死ぬもん』
何でこう…
いちいちこいつの言うことに腹を立てなきゃなんねぇんだ?
オレは何に苛立ってんだ?
こいつの態度?
こいつの考え方?
こいつの…
「ああーもうわかんねぇ!!!
いいからさっさと食いやがれ!!!」
大志は姫の顔を左手で掴んだ
『!!?』
残った右手は皿を置き、トーストを持ち、姫の口元へ運んだ
口をこじ開けてやろうとするが、姫もなかなか強情で開けようとしない
「食・え!!」
『っー…!!』
この時初めて
姫の眉が
下がっていたのだ