All Arounder
第48章 I Want To See…
姫は鍋を、流しに置いた
そしてそこへ、蛇口をひねって水を入れようとした
「お、おい何してんだよ!!??」
水がシチューの倍ほど入ってしまった鍋を
大志は取り上げる
『…棄てるの』
「はあ、何で?」
『ぉいしくなぃんだもん…』
姫は鍋に手を伸ばすが、大志は取らせようとはしない
『ぉいしくなぃんだもん…大志に…食べてほしくなぃんだもん…』
「んなもん、食ってみねぇとわかんねぇじゃねぇか」
『わかるもん…あたしの料理…おいしく…なぃ…』
姫はいつもの可愛い顔を、涙で台なしにした
大志に鍋を返してほしくて、大志の服を掴む
「…」
『おぃしくないから…大志はあたしが嫌いになっちゃう…
でもぁたしは…ぉいしいご飯…つくれないのぉ…』
「…」