All Arounder
第50章 Difference In Age
小泉はライターの火をつけると、美空の手にする花火の先へと持っていった
火はすぐに燃え移り、勢いよく音を立て
閃光を幾筋も飛ばした
「わーっ綺麗綺麗っ」
ほんとに子供のように…いや、まだ子供だったな
そのはしゃぎようは実に可愛らしい
「下に向けずに、こうやってね…」
「え///」
小泉は美空の手を取り、花火を少し上向けさせた
途端に
真っ暗な世界に
光の橋が渡される
「アーチが出来るでしょ?」
「…はい…///」
自分の手を包み込む大きな手が
やはり
愛しいのだ
やがて橋は距離を縮め
再び
暗闇が訪れた
「ああ…終わっちゃったね」
小泉はゆっくりと美空の手を放した
それを寂しいことを言葉にはせず、
表情で見せる美空に
こっちは苦笑するしかない
「花火って、寂しいでしょ」
一瞬の誕生
一瞬の輝き
一瞬の足掻き
永遠の沈黙
全ての人に
全てのものに
この過程が一度だけ授けられる
けれど
たった一度なんだ
たった一度を
どれほど価値あるものに出来ようと
いずれ、
忘れ去られる
「一瞬で寂しいけど…俺は好きなんだ…
一瞬だから、好きなのかな…?」
愛した人も
一瞬で去ってしまったから…
「一瞬なんかじゃありませんよ」