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All Arounder

第8章 Make You Smile





銃が飛び、壁に当たった




「俺を忘れてもらっちゃ困るっつーの」



井上は、矢車の持っていた銃を撃ち飛ばしたのだ




「…くそぉ…」



手元に武器がなくなった矢車は、その場に膝をついた





「おい」



大志は矢車の前に立った



「…」



矢車が大志の顔を見上げた瞬間、顔面を殴り飛ばされた



ガターンッと勢いよくテーブルに突っ込み、矢車は気を失った



「うしっ」



大志はひとり頷くと、井上の方へ寄った



「撃たれるなんて珍しいな」



「はは、姫ちゃんにカッコイイとこ見せようとしちまった(笑)」


撃たれたとは思えないほど、井上は明るく振る舞った


それとは逆に、傷口からは出血がひどい




「マスター、止血してやってくれ」



「わかってるよ」




大志は、今度は姫に近づいた



「怪我、ねぇか?」



『…うん』



「そっか、なら良かった」



大志はほほ笑むと、気を失った男たちを次から次へと外へ運び出していった





『…』



姫はそんな大志を、ただじっと見ていた











All Arounderは



どんな仕事も引き受ける…






この、恐怖を感じさせた男が




あたしを笑わせてくれる日は





来るのだろうか…






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