テキストサイズ

All Arounder

第8章 Make You Smile




その後、井上はあの手この手を尽くしたが
結局姫は最後まで笑わなかった



「さすがに…落ち込む」



井上はソファーにズルズルと倒れていった



「もう7時か…」



大志には、そろそろ帰宅時間が迫ってきていた



「おい大志、お前も何かしろよ。さっきから俺ばっかじゃねーか」



井上は大志を恨めしそうな目で見たが
大志は無視した



「今日はこんなもんにしとくか…姫は屋敷へ帰れ」



『いや』



「は?」



『あんなところ帰りたくない』


姫は淡々と喋った



「駄々捏ねんじゃねぇ、帰れ」


『いや』



「じゃあ、どこで寝泊まりすんだよ?」



『…』



姫は口をつぐんだ


ほらな、と帰るよう促したとき
「大志の家行けば?」

とマスターが言ったのだ




「は!!?」



「姫ちゃんの屋敷ってここからかなり離れてるだろ。
大志の家行きな」



『ほんとに?』



マスターはコクッと頷いた



「ダメだ、オレん家はダメだ。それなら酒場に泊まっとけ」



「こんな物騒な場所に女の子を泊めさせられないよ」



マスターはニコニコとしながら、大志を説得していった





「大志が嫌なら、俺の家来いって!!」

『やだ』



「即答…!!(泣)」




井上の家はダメということになり、結局大志の家に姫を泊めることになった




「…はあ」



溜め息が漏れる…



ストーリーメニュー

TOPTOPへ