All Arounder
第9章 A Couple of Night
頭を撫でると、さらに埋めてきた
背中をさすると、さらにしがみついてきた
この人を…
笑わせてやりたいと思った
「姫…」
名前を呼ぶと、姫は顔を上げた
『…何?』
「絶対笑わせてやっから」
想像以上に深く彫り込まれた傷は
なかなかそうはさせてくれないだろう
だけど
時間がどれだけ掛かろうと
いつかお前を
笑わせてやる
「今日はもう寝とけ」
『…うん』
姫は立ち上がると、ベッドに横になった
大志も床に敷いた布団に入ろうと思ったが
『大志…』
「あ?」
『あたしが眠るまで、手…握っといて…』
「はあ?お前ガキかよ…?///」
『お願い…』
「…///」
大志はベッドに腰掛け、姫が出した手を取った
『…ありがと…』
「いいから、さっさと寝ろ」
姫が眠りにつくまで
ずっとその手を
離さないでいた