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一万回目のプロポーズ

第3章 優しくすんな








「え、笹川さん!?」






聞き覚えのある声に、ふと振り向いた






『あ…』





傘をさして驚いた顔を見せていたのは、俊司だった





「傘ないの!?
びしょ濡れじゃん!!」




『…いいの』





今は



泣いてるから





さっさとこの場から離れたくて、家へ向かう道を駆け足で走った




「あっ、笹川さん…!!」




後ろから声が聞こえるけど、無視




走っていると水溜まりの水が跳ねて、あたしは足元からどんどん汚くなっていった




こんな格好…恥ずかしい…





バシャッバシャッ
バシャッバシャッ



追いかけてくる音がした




『…?』




走りながら後ろを振り返ると、俊司が追いかけて来ていた




『ちょっ…ついて来ないでよ!!』




「いや、んなこと言ったって…そんな濡れてちゃ後で風邪引くだろ!?」





『ほっといてよ!!
だから、ついて来んなストーカー!!』




「誰がストーカーだ!!
人の親切を何だと思ってんだよ!!」



走っても走っても、俊司はあたしを追いかけてきた





『どこが親切か教えてほしいくらいだっつの!!
それ以上来たら警察呼ぶ…』




そう叫んでいる最中に、雨でヌルヌルになった落ち葉で足を滑らせてしまった





『いだぁあ!!』





豪快に、お尻から地面に落ちた






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