一万回目のプロポーズ
第7章 夜の電話
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『…』
あたしはただ
部屋の中でボーッとしていた
千尋に睨まれて、何も言い出せなくなったあたし…
今考えたら、千尋に向かって言い返せるようなことなんて山ほどあったのに
あたし…逃げたんだ…
「明奈ー、電話ー」
突然、お母さんが部屋に入ってきた
片手には子機
『誰から…?』
「俊司君」
『は!!?』
あたしは急いで子機を受け取り、
お母さんを追い出すように扉を閉めた
『…』
…何だ
今何時だと思ってんだ
11時っすよ
…俊司…もうあたしに用なんてないじゃん…
電話なんて…してこないでよ…
《おい、まだかー?》
『…もしもし…』