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―自分に起こった不幸の数をかぞえていたら、それこそキリがありませんよ。悪いことより、良いことの方を数えて、明日はまた一つ良いことが増えれば良いなと仏さまにお願いするんです。そうやって一日、一日、大切に生きてゆけば、いつかきっと良いことが本当に起こるような気がして。

　時々、作品を書いて居るときに勝手に筆が動いて、自分でも予期しないような科白や文章が飛び出してくることがあります。

　それが、このお都弥の科白でした。
　書き上げてから、これは彼女の心からの想いではないかと感じたものです。
　不幸の数をかぞえたらキリがない、むしろ幸せの数をかざかえ方が良い。
　自分で書いておいて変な言い方ですが、このときはお都弥ちゃに大切なことを教えられたような気がしました。
　

女好きと評判になった殿様の初恋。