やぶさか。さんの作者ニュース
正しい自慢の仕方について
今日(と言うか昨日)12月23日。天皇誕生日。もといクリスマスイブイブ。佐川急便の倉庫内作業の仕事にて。
同僚の、難聴を患っていながら『日本サーフィン協会会長』兼『市議会選立候補経験者』という異色の経歴を持つお爺さん。
彼が、宅配業者がサンタクロースの代わりを任されるこのクソ忙しい一日を国民の休日と勘違いして休んだお陰で——
得意気にオッサン「俺、発泡酒は一度も飲んだ事ないわあ」
自慢気にオッサン「サッポロ黒ラベルしか飲まれへんねん」
皮肉る貧乏人(俺)「はっは、流石は金持ちっスね」
——やたら話し掛けてくるちょいワル気取りのオッサン(正直あんまり好きじゃないオッサン)と二人で、作業をしなくてはならなかった。
それまで全ての相槌を「あー」「はー」で埋めることで会話になる事を防いでいたが、万年第3のビールで晩酌を満たす貧乏人根性が黙っていられず思わずツッコミを入れてしまっていた。
初の会話成立と捉えたオッサンは「い、いや、そんなことないよう?」驚き半分照れ半分(誉めちゃいねーよ)の表情になるや否や、
「俺さあIT会社の社長やねん」「ここの元社長と飲み仲間でなあ」「パソコン仕事の憂さ晴らしにこれやってんねん」「どや」
ぺらぺらと、どーでもいい話をし始めた。
「高級外車で来たらなあ」「どや」「元社長から、おまえの身分がバレるからやめろ言われてなあ」「どや」「軽ワゴンで来ることにしたらなあ」「そのワゴン三台買い換える羽目になってん」「あ、どや」
どーでもいい自慢話も始まった。
『元社長がとっくの昔に転勤した今、アナタはただの老害ですね』
更なるツッコミも入れてみたくなったけど、やめておいた。
何故なら前に「自分何歳?大学何年?」と聞かれた時、とっくに留年確定して特待解除されるのと同時に大学やめて警備員の仕事とこの仕事等を両立させているのにも関わらず、
得意気に俺「22の四年生っす」
自慢気に俺「特待生っす、どや」
見栄を張ってしまった経歴のある自分にはそれを言う権利がない気がしたから。
(1000文字制限にて、後半に続く)