恋する妹・菜子のらくがき
1
三学期が始まったばかりの、一月前半。
高校一年生の菜子は、退屈な古典の授業に、たまらず大あくびが出そうになって手で抑えた。けど、愛らしい童顔は少しだけ歪んでしまった。
2
菜子
(ふぁーあ……。もう、眠たくなっちゃうよぉー)
3
すると菜子。教卓の真ん前の席にもかかわらず、
退屈しのぎ&眠気覚ましに、
ノートの隅にコソコソとらくがきをし始めた。
4
菜子
(ふんふんふーん、
ふふふふふーん♪)
5
古典の先生
……で、あるからしてー、
ここの文はな……
6
菜子
(んふふ、
バレてないバレてない)
7
しゃがれた声で、授業を淡々と進めていく
亀顔のお年寄り先生。
それを菜子は、チラチラと伺いつつ、
心の中でいつもの鼻歌をふんふん歌いながら、
無邪気にペンを走らせる。
8
菜子
(……えへへ、
でーきたっ!)
9
菜子は自分の描いたらくがきを改めて見ると、
だらしなくニタニタしてしまいそうになった。
10
胸をキュンキュン弾ませながら
菜子が描いたのは――
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