テキストサイズ

短編集

第5章 イブと自販機と男

男はそのまま空き地に延びる舗装路を歩き出す。
まっすぐ。
背の高い枯れすすきが道路にはみ出してこうべを垂れている。

―どこへ続いているんだろう?
少し不安な気持ちもよぎったが、気がつかなかったふりをして、前へ進む。


―うん…?迷っているから進んでいるか、離れているかはわからないんだっけ…

わざとらしく、そんなことを考えて、煙草をもう1本取り出す。

―もう、潮時なのかもしれねぇな…

何がだろう?
何を諦めようとしているんだろう?
いつも、いつも諦めようとして、諦めきれず、諦めたふりをして、ここまでやってきたんじゃなかったか?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ